
求人開拓・営業
新規案件が増えない。営業は回しているのに、売上につながらない。派遣会社の営業でよく聞く悩みです。
この記事では、営業手法を10個挙げる前に、平均的な派遣会社が1年でどれだけ取引先を増やしているかを数字で確認します。そのうえで、どの手法から着手すべきかを順番に並べます。
厚生労働省の集計では、実績のある1事業所あたりの派遣先件数は26.0件、稼働している派遣労働者は66.3人でした。
割り算すると、1つの派遣先に出している人数は2.55人です。取引先の数は多いのに、1社あたりは数人という形になっています。
この構造を踏まえると、営業の打ち手は2つに分かれます。社数を増やすか、1社あたりの人数を増やすかです。どちらが自社で取りやすいかを決めるのが先で、手法選びはその後です。

出典は厚生労働省の令和6年度 労働者派遣事業報告書の集計結果です。実績のある33,207事業所の平均値です。
項目 | 令和5年度 | 令和6年度 |
|---|---|---|
派遣先件数 | 25.1件 | 26.0件 |
稼働している派遣労働者 | 66.6人 | 66.3人 |
派遣先1件あたりの人数 | 2.65人 | 2.55人 |
登録者数 | 242.4人 | 226.7人 |
派遣先件数は1年で0.9件しか増えていません。平均的な派遣会社が1年で増やせる取引先は、1社に満たないということです。
同じ期間に稼働人数は0.3人減り、登録者数は15.7人減りました。社数は増えているのに、中身は薄くなっています。
「新規を年間30社」といった目標が平均像から大きく外れていないか、まず確認してください。事業所数そのものの動きは人材派遣会社の事業所数の推移と今後の増加予測【最新データ】にまとめています。
ここからは試算です。派遣料金と賃金の差額は1人1日あたり9,522円でした。平均の売上と稼働人数から逆算すると、年間稼働は1人あたり約171日に相当します。
打ち手 | 増える稼働 | 年間の粗利(試算) |
|---|---|---|
新規1社を獲得する | 2.55人 | 約415万円 |
既存1社で1人増やす | 1.0人 | 約163万円 |
既存3社で1人ずつ増やす | 3.0人 | 約489万円 |
新規1社は、既存3社で1人ずつ増やすより粗利が小さい計算になります。新規開拓の工数が既存深耕の3倍を超えるなら、順番は逆になります。
どちらを優先するかの考え方は派遣営業は新規開拓と既存深耕どちらを優先すべきかで扱っています。

営業の切り口は、相手が何を求めているかで決まります。厚生労働省の令和4年派遣労働者実態調査では、派遣を利用する理由が集計されています。
派遣を利用する理由 | 割合 |
|---|---|
欠員補充等必要な人員を迅速に確保できるため | 76.5% |
一時的・季節的な業務量の変動に対処するため | 37.2% |
軽作業等の簡易な業務に対応するため | 30.9% |
1位は迅速な確保で76.5%です。料金の安さではありません。産業別では製造業が23.6%で最も高くなっています。
つまり営業で伝えるべきは「安くできます」ではなく「何日で出せます」です。自社の過去実績から、依頼から就業までの平均日数を出しておくと提案が具体的になります。
どの職種で切り込むかによって、人を集められるかどうかは大きく変わります。厚生労働省の一般職業紹介状況(令和8年7月)の有効求人倍率を見てください。
職業分類 | 有効求人倍率 | 営業上の意味 |
|---|---|---|
建設躯体工事 | 7.94倍 | 受注は容易、充足は困難 |
介護サービス | 3.82倍 | 需要は継続、競合も多い |
生産工程 | 1.59倍 | 均衡に近く提案しやすい |
一般事務 | 0.29倍 | 人は集まる、単価は低い |
建設躯体工事と一般事務では27倍の差があります。同じ営業工数でも、職種を変えるだけで結果は変わります。
業界ごとの優先順位は派遣会社が新規開拓で狙うべき業界ランキング【優先順位】に整理しました。

以下の10手法は、立ち上がりの早い順に並べています。上から順に、自社で未着手のものを埋めていくのが基本です。
最も粗利効率が高い手法です。既存3社で1人ずつ増やせば、新規1社より大きい約489万円になります。
現場責任者だけでなく、人事部門や他拠点にも接点を広げてください。稼働中のスタッフの出勤率や更新状況を定期的に共有すると、相談される頻度が上がります。
派遣契約の85.7%は3か月以内に終わります。つまり取引が切れている企業は、失注先ではなく単に契約期間が終わった先です。
「以前お手伝いした業務の状況はいかがですか」という確認から入れば、売り込みになりません。過去1年の終了案件を一覧にして、終了月から3か月後に連絡する運用が組みやすい形です。
受注率が最も高いチャネルですが、待っているだけでは発生しません。契約更新や定期訪問のタイミングで依頼する動作を決めておく必要があります。
依頼の文面を固定し、誰が言っても同じ内容になるようにしてください。営業担当者の性格に依存させないことが、件数を安定させる条件です。
登録者226.7人に対し、稼働は66.3人です。比率にすると29.2%で、7割は動いていません。
動いていない登録者の職種とエリアを集計し、それに合う企業へ営業をかける順番にすると、受注から就業までが短くなります。案件を取ってから人を探すより確実です。
依然として有効ですが、切り口を職種で名指すかどうかで反応が変わります。「人材派遣のご提案」ではなく「夜勤の生産工程で欠員は出ていませんか」と聞く形です。
効率を上げる手順は派遣営業で月100件アプローチする効率的な営業手法、リストの作り方は派遣会社の営業リストの作り方|開拓につながる作成手順にまとめています。
電話を取り次がない企業が増えているため、問い合わせフォームやメールでの接触が有効な場面があります。
1通あたりの反応率は低いので、送信数と返信数を記録して比率で管理してください。職種を名指した件名のほうが開封されやすい傾向があります。
自社サイトで職種や業界を絞った記事を出し、相談を受ける形です。営業担当者が訪問する前に判断材料を渡せる点が強みになります。
成果が出るまで数か月かかるため、ほかの手法と並行させてください。進め方は派遣会社がSEOで求職者を集客する方法と始め方が参考になります。
その場で受注につながることは多くありません。目的は、採用で困ったときに思い出してもらうことです。
名刺交換した企業には、その週のうちに職種を特定した内容で連絡してください。間が空くほど成果は落ちます。
社会保険労務士、採用支援会社、求人広告代理店は、人材の課題を抱える企業と日常的に接しています。
紹介し合える関係を作れば、自社営業では出会えない企業と接点が生まれます。ただし成立まで時間がかかるため、短期の数字は期待しないほうが安全です。
企業を探す工数そのものを外部に出す方法です。営業人数が限られている会社ほど、効果が出やすい手法になります。
自社営業の代わりではなく、接点の母数を増やす手段として位置づけてください。
手法 | 立ち上がり | 向いている会社 |
|---|---|---|
既存深耕・休眠再訪・紹介 | 即日〜1か月 | 取引実績がある会社 |
人材起点・テレアポ・フォーム営業 | 1〜3か月 | 登録者を抱えている会社 |
Web集客・展示会・アライアンス | 3〜12か月 | 当面の数字に余裕がある会社 |
マッチングプラットフォーム | 1〜2か月 | 営業人数が少ない会社 |
上の段ほど早く数字になります。人手が足りない会社ほど、下の段から手を付けて続かなくなる傾向があります。
顧客管理ツールの導入は手法ではなく土台です。商談履歴と失注理由を残しておかないと、どの手法が効いたかを後から判断できません。
派遣契約の期間を見ると、1日以下が25.7%、3か月以内が合計85.7%です。受注はゴールではなく、3か月後にもう一度判断される起点だということになります。
日本人材派遣協会の調査では、営業担当者とのコミュニケーションについて「満足」が47.2%、「不満」が21.2%でした。さらに、営業担当者が「何もしていない」と答えた派遣社員が42.2%います。
更新のたびに他社と比較される構造なので、稼働後の接触頻度がそのまま次の受注に効きます。信頼される担当者の共通点は派遣スタッフから信頼される営業担当の共通点にまとめました。
稼働66.3人、派遣先26.0件の会社を2つ想定します。どちらも営業は2人です。
A社は新規開拓に営業工数の8割を使い、年間3社を獲得しました。増えた稼働は7.65人、粗利は約1,245万円です。ただし既存先のフォローが薄くなり、更新が止まった先が2社出ました。
B社は既存深耕に6割を使い、10社で1人ずつ増やしました。増えた稼働は10人、粗利は約1,628万円です。新規は1社にとどまりましたが、更新停止はありませんでした。
差は約383万円ですが、本当の差は翌年です。B社は26.0件の取引先を維持したまま次の年に入れます。
自社の派遣先件数と稼働人数を割り算し、1社あたり何人かを出す
その数字を全国平均の2.55人と比べ、社数と人数のどちらを増やすか決める
過去1年の終了案件を一覧にし、終了から3か月後に連絡する担当を決める
稼働していない登録者を職種とエリアで集計し、営業先の順番に反映する
依頼から就業までの平均日数を出し、提案資料に入れる
いま使っている営業チャネルを数え、立ち上がりの早い手法が入っているか確認する
平均的な派遣会社の派遣先は26.0件、稼働は66.3人で、1社あたり2.55人です。1年で増えた取引先は0.9件でした。
新規1社の粗利は約415万円、既存3社で1人ずつ増やすと約489万円という試算になります。工数を考えれば、上から順に既存深耕、休眠再訪、紹介となります。
切り口は料金ではなくスピードです。派遣を使う理由の1位は迅速な確保で76.5%でした。職種を名指せば、難易度は求人倍率で27倍の差があります。
手法を増やす前に、自社の1社あたり人数を出すところから始めてください。
Q1. 実績のある1事業所あたり、派遣先1件に出している人数はおよそ何人でしょうか。
A. 約2.6人
B. 約8人
C. 約26人
正解:A
解説:稼働66.3人を派遣先26.0件で割ると2.55人です。26.0は派遣先の件数そのものです。
Q2. 求人企業が派遣を利用する理由の1位はどれでしょうか。
A. 人件費を抑えられるため
B. 欠員補充等必要な人員を迅速に確保できるため
C. 正社員採用の前に見極められるため
正解:B
解説:76.5%で1位です。2位は一時的・季節的な業務量の変動への対処で37.2%でした。
Q3. 派遣契約のうち、3か月以内に終わる割合はどれくらいでしょうか。
A. 約45%
B. 約65%
C. 約86%
正解:C
解説:85.7%が3か月以内です。1日以下の契約も25.7%を占めます。
営業人数が限られていると、立ち上がりの遅い手法まで手が回りません。企業を探す工数だけを外に出す選択肢もあります。
ハケンバンクは、求人企業と派遣会社をつなぎ、派遣会社の案件獲得を支援するプラットフォームです。自社営業を置き換えるものではなく、接点の母数を増やす手段としてご検討ください。
・厚生労働省「令和6年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」(2026年3月31日公表)
・厚生労働省「令和4年派遣労働者実態調査の概況」(2024年2月公表、事業所調査)
・厚生労働省「一般職業紹介状況」(職業安定業務統計)
・一般社団法人日本人材派遣協会「2025年度 派遣社員WEBアンケート調査結果」(2025年12月公表)
この記事の監修者

ハケンバンク運営チーム
ハケンバンク運営チームは、人材派遣会社と求人企業をつなぐプラットフォーム「ハケンバンク」の運営を通じて、派遣業界の市場動向や現場課題を日々分析しています。
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