派遣会社の営業リストの作り方|開拓につながる作成手順

求人開拓・営業

2026/8/14

派遣会社の営業リストの作り方|開拓につながる作成手順

「営業リストは作っているのに、架電しても開拓につながらない」。中小・中堅の派遣会社で新規開拓を担う方から、よく聞く悩みです。多くの場合、問題はリストの量でも営業トークでもなく、リストの設計そのものにあります。本記事は、従業員5〜300名規模の派遣会社の経営者・営業責任者・担当者に向けて、開拓の成約につながる営業リストの作り方を、派遣特有の受注構造に沿った手順で整理します。

目次

結論:営業リストは「企業一覧」ではなく「求人が発生している事業所の絞り込み」

派遣会社の営業リストで成果を分けるのは、掲載社数ではなく絞り込みの精度です。国内の企業数は約337.5万者に上ります(中小企業庁「中小企業・小規模事業者の数」、2021年時点)。この母集団から機械的に抽出したリストは、量が多くても、派遣を今は必要としない企業を大量に含みます。開拓につながるリストとは、派遣を使う業種で、今まさに人手が足りず、自社の登録スタッフで埋められる事業所に絞り込まれたものです。作成の起点を「何社載せるか」から「どの条件で外すか」に変えることが、最初の一歩になります。

なぜ派遣会社の営業リストは開拓につながらないのか

リストが機能しない根本原因は、派遣の受注が「タイミング商材」である点にあります。有効求人倍率は2025年平均で1.22倍と、企業の採用意欲は依然として底堅い水準です(厚生労働省「一般職業紹介状況」、令和7年平均)。しかし派遣が発注されるのは、採用が追いつかず「今すぐ人が欲しい」という限られた瞬間です。静的な企業リストは、この瞬間を捉えられません。名簿を上から架電しても、相手に欠員がなければ「今は間に合っている」で終わります。つまり、リストに求人の発生という時間軸が入っていないことが、開拓率の低さを生んでいます。

加えて、リストが本社の代表番号を中心に作られている点も見落とせません。派遣を実際に発注するのは、工場やセンターといった現場の事業所です。本社に電話しても、発注を左右する現場担当にはつながりにくく、初回接触の質が下がります。

リストの設計:4つの軸で母集団を絞る

開拓につながるリストは、四つの軸で母集団を絞ると精度が上がります。第一に業種です。派遣需要は製造、物流、コールセンター、介護、事務などに偏っており、派遣先件数は全国で約86万件に達します(厚生労働省「令和6年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」)。第二に求人シグナルです。ハローワークや求人媒体に今掲載している企業は、欠員が顕在化している証拠になります。第三に商圏です。就業場所が自社のスタッフ供給圏と重なるかで、埋められる確率が変わります。第四に充足可能性で、自社の登録スタッフで対応できる職種かをリスト段階で判断します。この四軸を通すと、母数は減っても成約率は上がります。開拓手法そのものを見直したい場合は、[派遣会社の新規案件を獲得する営業手法]もあわせて確認してください。

見落とされている論点:法人単位ではなく「事業所単位」でリストを作る

多くのリストが法人単位で作られていますが、派遣の営業対象は事業所です。同じ企業でも、A工場は増員中でB工場は余剰、ということが日常的に起きます。派遣労働者数は約201万人(厚生労働省「労働者派遣事業の令和7年6月1日現在の状況(速報)」)と規模は大きいものの、その需要は事業所ごとにばらつきます。法人でひとくくりにしたリストは、この粒度を捉えられません。事業所ごとに所在地、業種、想定職種、求人の有無を持たせると、リストは「架ける順番」まで判断できる道具になります。

さらに、リストにスタッフの充足可否を併記しておくと、営業とコーディネーターの情報分断も防げます。営業が取った案件をコーディネーターが埋められない、という典型的な失注は、この分断から生まれます。

想定してみましょう:母数型リストと絞り込み型リストの差

架空の想定で違いを整理します。同じ商圏で新規開拓する二社があるとします。A社は業界名簿から500社を抽出し、本社番号へ順に架電しました。B社は求人媒体で今募集中の製造・物流事業所を50件に絞り、就業場所が自社スタッフの通勤圏に入るものだけを残しました。架電数はA社が10倍でも、商談化するのはB社が上回りやすいと考えられます。A社は「今は不要」との断りを積み上げ、B社は欠員が出ている相手にだけ当たっているからです。リストの精度は、そのまま営業の時間対効果に跳ね返ります。

データで見る、リスト設計の考え方

リスト設計は、一件あたりの受注価値から逆算すると判断しやすくなります。派遣料金は8時間換算で全業務平均26,257円、派遣スタッフの賃金は同16,735円です(厚生労働省、令和6年度)。一人の稼働が生む差額の中に自社の粗利が含まれるため、リストは「数を打つ」より「埋められる案件を確実に取る」設計が合理的です。以下に、成果につながりにくいリストと、つながりやすいリストの違いを整理します。

観点

開拓につながりにくいリスト

開拓につながりやすいリスト

作成単位

法人単位

事業所単位

抽出軸

業種・規模のみ

業種・求人シグナル・商圏・充足可能性

鮮度

一度作って固定

求人発生で随時更新

架電先

本社代表番号

現場事業所の採用担当

評価指標

架電数・リスト件数

商談化率・成約率・粗利

情報源

主な用途

特徴

ハローワークインターネットサービス

求人シグナルの把握

無料・欠員が顕在化している

求人媒体(Indeedなど)

掲載中企業の抽出

職種・勤務地で絞り込める

企業データベース(帝国データバンク等)

業種・規模の絞り込み

有料・網羅性が高い

自社の既存・休眠先

追加・再開拓

受注確度が比較的高い

地図サービス・商圏内の施設

事業所の把握

現場の所在地を特定できる

今日からできる改善策

まず、既存のリストを法人単位から事業所単位へ組み替えます。次に、ハローワークや求人媒体で今募集している企業を抽出し、求人シグナルの列を追加します。そのうえで、就業場所が自社スタッフの供給圏に入るかで優先順位を付けます。この三つで、同じ架電数でも商談化率が変わってきます。数を増やす前に、外す基準を先に決めることが近道です。

今日から実践するためのチェックリスト

  • リストを法人単位ではなく事業所単位で作っているか

  • 業種を派遣需要の高い領域(製造・物流・介護・事務など)に絞っているか

  • ハローワーク・求人媒体の求人シグナルを反映しているか

  • 就業場所が自社スタッフの供給圏と重なるか確認したか

  • 自社の登録スタッフで充足できる職種か判断しているか

  • 架電先を本社ではなく現場事業所の採用担当に設定しているか

  • 評価指標を架電数ではなく商談化率・成約率・粗利に置いているか

まとめ

営業リストの成否は、載せた社数ではなく、外す基準の設計で決まります。派遣は今人が足りない瞬間にしか受注できないため、リストには業種・求人シグナル・商圏・充足可能性という時間と粒度の軸が要ります。まず取り組むのは、既存リストの事業所単位への組み替えと、求人シグナルの付与です。母数を追う開拓から、埋められる案件に絞る開拓へ切り替えることが、成約率と粗利を高める出発点になります。

ハケンバンクについて

自社だけで求人企業のリストを広げ、鮮度を保ち続けることが難しい場合、外部の仕組みを併用する選択肢もあります。ハケンバンクは、求人企業と派遣会社をつなぎ、派遣会社の案件獲得を支援するプラットフォームです。自社だけでは接点を持ちにくい求人企業と出会う仕組みとして、既存の営業活動を補完する用途で活用できます。

参考文献

  • 中小企業庁「中小企業・小規模事業者の数(2021年6月時点)」(2023年公表)

  • 厚生労働省「令和6年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」(2025年公表)

  • 厚生労働省「一般職業紹介状況」(令和7年平均)

  • 厚生労働省「労働者派遣事業の令和7年6月1日現在の状況(速報)」(2026年公表)

この記事の監修者

ハケンバンク運営チーム

ハケンバンク運営チームは、人材派遣会社と求人企業をつなぐプラットフォーム「ハケンバンク」の運営を通じて、派遣業界の市場動向や現場課題を日々分析しています。
派遣会社の経営者・営業担当者・コーディネーターの実務に役立つ情報を発信し、「派遣会社の経営を変える知識」をテーマに、業界の構造や最新トレンド、実践的なノウハウを分かりやすくお届けしています。

[PR]ハケンバンクは、人材派遣会社の成長を実現する求人プラットフォームです。求人開拓を効率化し、さらなる売り上げアップをサポートしています。人材派遣事業でお困りの際はぜひお気軽にご相談ください。

サービス資料ダウンロード

vertical_align_bottom

© CLEAR INNOVATION, inc. ALL RIGHTS RESERVED.