派遣営業で月100件アプローチする効率的な営業手法

求人開拓・営業

2026/8/14

派遣営業で月100件アプローチする効率的な営業手法

「営業件数を増やしたいが、少人数では回しきれない」「月100件を目標にしても、途中で息切れする」。中小・中堅の派遣会社で新規開拓を担う方に共通する悩みです。多くの場合、原因は営業担当者の頑張り不足ではなく、100件を根性で追う設計そのものにあります。本記事は、従業員5〜300名規模の派遣会社の経営者・営業責任者・担当者に向けて、月100件のアプローチを無理なく回し、成約につなげる営業の組み立て方を、派遣特有の営業構造に沿って整理します。

目次

結論:月100件は「根性」ではなく「絞り込み・チャネル分担・仕組み化」で回す

月100件のアプローチは、気合いで架電数を積むものではありません。アプローチ先を絞り込み、チャネルを使い分け、活動を仕組みにすることで、少人数でも無理なく到達できます。国内の企業数は約337.5万者に上り、母集団は十分にあります(中小企業庁「中小企業・小規模事業者の数」、2021年時点)。問題は数の確保ではなく、限られた営業時間をどこへ向けるかです。100件という数字を目的にせず、成約と粗利につながる100件を設計することが出発点になります。

なぜ「月100件アプローチ」が空回りするのか

件数を追うほど成果が落ちる、という逆転が起きる理由は、派遣の受注が発注タイミングに強く縛られるからです。有効求人倍率は2025年平均で1.22倍と採用意欲は底堅い一方(厚生労働省「一般職業紹介状況」、令和7年平均)、派遣が発注されるのは「今すぐ人が欲しい」という限られた瞬間です。相手の欠員と架電のタイミングが合わなければ、100件架けても大半は「今は不要」で終わります。件数だけを増やすと、この空振りが積み上がり、担当者は疲弊します。つまり、量を増やす前に、当てる相手とタイミングの精度を上げることが先決です。

さらに、中小派遣では営業がスタッフ採用やフォローを兼務することも多く、営業だけに割ける時間は限られます。時間が限られる以上、1件あたりの空振りを減らす設計が、到達できる件数の上限を引き上げます。

営業活動の構造:100件を「1日5件」に分解し、チャネルで分担する

月100件は、20営業日で割れば1日あたり5件です。数字だけを見れば多くはありませんが、電話一本槍で5件の商談機会を作るのは容易ではありません。派遣先件数は全国で約86万件(厚生労働省「令和6年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」)と市場は広く、接点の作り方は電話に限りません。効率を左右するのは、電話、メール、問い合わせフォーム、既存・休眠先の再接触といったチャネルを、目的に応じて分担することです。新規の初回接触はメールやフォームで母数を広げ、反応があった相手に電話を集中させると、同じ時間でも商談化率が上がります。逆に全件を架電で処理しようとすると、接続できない時間に営業の稼働が吸われます。アプローチ先の質を上げる前提として、[開拓につながる営業リストの作り方]も併せて見直すと効果的です。

見落とされている論点:アプローチ数はKPIの入口にすぎない

多くの現場が「アプローチ数」を営業目標に置きますが、これは入口の指標にすぎません。派遣労働者数は約201万人(厚生労働省「労働者派遣事業の令和7年6月1日現在の状況(速報)」)と稼働の裾野は広く、成果は最終的に稼働と粗利で決まります。アプローチ100件は、接続、商談、成約、稼働という後工程に連動して初めて意味を持ちます。ここで見落とされがちなのが、既存・休眠先の再アプローチです。新規の初回接触より、一度取引や問い合わせのあった相手のほうが接続率も受注確度も高く、時間対効果に優れます。100件の内訳を新規だけで埋めず、休眠先の掘り起こしを一定割合で組み込むほうが、同じ件数でも成約は増えます。

想定してみましょう:件数追求型と設計型の差

架空の想定で違いを整理します。同じ月100件を目標にした二人の営業がいるとします。担当Aは業界名簿を上から順に100社架電し、接続できた相手にその場で提案しました。担当Bは、まず求人媒体で募集中の企業と自社の休眠先を60件選び、残り40件はメールで初回接触し、反応があった相手に電話を絞りました。総アプローチ数は同じでも、商談化はBが上回りやすいと考えられます。Aは接続とタイミングの両方を運に任せ、Bは当たる相手を選び、チャネルで時間を節約しているからです。効率とは件数の多さではなく、同じ件数から取れる成果の差を指します。

データで見る、アプローチ設計の考え方

アプローチ設計は、一件あたりの受注価値から逆算すると判断しやすくなります。派遣料金は8時間換算で全業務平均26,257円、派遣スタッフの賃金は同16,735円です(厚生労働省、令和6年度)。一人の稼働が継続的に生む差額が自社の粗利になるため、100件の中身は「数をこなす」より「稼働につながる案件を確実に取る」方向で設計するのが合理的です。以下に、件数追求型と設計型の違いと、チャネルごとの役割を整理します。

観点

件数追求型

設計型

目標

アプローチ数そのもの

商談化率・成約・粗利

対象の選び方

名簿を上から順に

求人シグナル・商圏で選定

チャネル

電話中心

電話・メール・フォーム・再接触を分担

新規と既存

新規に偏重

休眠・既存を一定割合で組込み

属人性

担当者の頑張り任せ

手順化・記録で再現

チャネル

主な役割

効率の目安

電話

反応先への提案・関係構築

接続すれば濃いが時間を要する

メール

新規の母数拡大・記録が残る

一斉送信で件数を稼ぎやすい

問い合わせフォーム

代表電話を避け窓口に届く

到達はするが返信率は読みにくい

既存・休眠先

追加案件・再取引

接続率・受注確度が比較的高い

今日からできる改善策

まず、月100件を1日5件に分解し、そのうち何件を新規、何件を休眠・既存に充てるかを決めます。次に、新規はメールやフォームで初回接触し、電話は反応があった相手に絞ります。そのうえで、アプローチ数だけでなく、接続数・商談数・成約数を記録し、どの工程で落ちているかを可視化します。件数を増やす前に、落ちどころを見つけることが近道です。個別の接触手法を広げたい場合は、[派遣会社の新規案件を獲得する営業手法]も参考になります。

今日から実践するためのチェックリスト

  • 月100件を1日あたりの件数に分解しているか

  • 新規と休眠・既存の配分を決めているか

  • 新規の初回接触をメール・フォームに寄せているか

  • 電話を反応のあった相手に集中させているか

  • 求人シグナルや商圏でアプローチ先を選んでいるか

  • 接続数・商談数・成約数まで記録しているか

  • 営業活動の手順を記録し、担当者間で共有しているか

まとめ

月100件のアプローチは、根性で架電数を積む話ではなく、絞り込み・チャネル分担・仕組み化で回す話です。派遣は発注タイミングに縛られるため、当てる相手を選び、チャネルで時間を節約し、休眠・既存を組み込むことで、同じ件数から取れる成果が変わります。まず取り組むのは、100件の内訳設計と、接続から成約までの記録です。件数を追う営業から、成果を設計する営業へ切り替えることが、生産性と粗利を高める出発点になります。

ハケンバンクについて

自社の営業リソースだけで月100件のアプローチを維持することが難しい場合、外部の仕組みを併用する選択肢もあります。ハケンバンクは、求人企業と派遣会社をつなぎ、派遣会社の案件獲得を支援するプラットフォームです。自社だけでは接点を持ちにくい求人企業と出会う仕組みとして、既存の営業活動を補完する用途で活用できます。

参考文献

  • 中小企業庁「中小企業・小規模事業者の数(2021年6月時点)」(2023年公表)

  • 厚生労働省「令和6年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」(2025年公表)

  • 厚生労働省「一般職業紹介状況」(令和7年平均)

  • 厚生労働省「労働者派遣事業の令和7年6月1日現在の状況(速報)」(2026年公表)

この記事の監修者

ハケンバンク運営チーム

ハケンバンク運営チームは、人材派遣会社と求人企業をつなぐプラットフォーム「ハケンバンク」の運営を通じて、派遣業界の市場動向や現場課題を日々分析しています。
派遣会社の経営者・営業担当者・コーディネーターの実務に役立つ情報を発信し、「派遣会社の経営を変える知識」をテーマに、業界の構造や最新トレンド、実践的なノウハウを分かりやすくお届けしています。

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