派遣会社の求人広告で応募数を増やす方法と改善策

求職者集客・採用

2026/7/13

派遣会社の求人広告で応募数を増やす方法と改善策

広告費は増えているのに、就業人数が伸びない。求人広告の悩みは、たいていここに行き着きます。

この記事では、広告の中身を論じる前に、登録者がどれだけ動いているかを数字で確認します。そのうえで、職種と契約期間から「1件の応募にいくらかけていいか」を出す手順を整理します。

結論:応募を増やす前に、名簿の7割が動いていないことを確認する

厚生労働省の集計では、実績のある1事業所あたりの登録者数は226.7人、稼働している派遣労働者は66.3人でした。

割り算すると29.2%です。登録者のうち7割は、その年度に動いていないことになります。

この状態で新規応募を増やしても、名簿が厚くなるだけで稼働は増えません。まず止まっている7割を点検するほうが先です。

大きな浅皿に並ぶ人の多くが横たわり、少数だけが立っているイラスト

まず、登録者と稼働の数字を並べる

出典は厚生労働省の令和6年度 労働者派遣事業報告書の集計結果です。実績のある33,207事業所の平均値になります。

項目

令和5年度

令和6年度

登録者数

242.4人

226.7人

稼働している派遣労働者

66.6人

66.3人

登録者に対する稼働の比率

27.5%

29.2%

派遣先件数

25.1件

26.0件

登録者は15.7人減り、率にすると6.5%の減少です。一方で稼働の比率は27.5%から29.2%へ上がっています。

名簿は薄くなったが、回し方は少し良くなった。全国平均の動きはこう読めます。自社の比率がこれを下回るなら、広告より先に手を入れる場所があります。

登録者が6.5%減っていることも軽く見ないでください。応募を集める難易度が上がっているというより、名簿が自然に目減りしているということです。

登録してから時間が経つほど、連絡はつかなくなります。広告で入り口を広げる前に、既存の名簿がどれだけ生きているかを確認する必要があります。

職種によって、応募の集まりやすさは27倍違う

同じ広告費でも、職種が違えば結果は変わります。厚生労働省の一般職業紹介状況(令和8年7月)の有効求人倍率を見てください。

職業分類

有効求人倍率

広告での集まり方

建設躯体工事

7.94倍

出しても集まりにくい

介護サービス

3.82倍

競合が多く単価が上がる

生産工程

1.59倍

条件次第で動く

運搬・清掃・包装等

0.65倍

比較的集まりやすい

一般事務

0.29倍

放っておいても集まる

建設躯体工事と一般事務では27倍の差があります。同じ原稿の質でも、結果はここで決まります。

反応が悪いとき、原稿を直す前に職種を確認してください。改善の順番は派遣の求人広告で反応が悪い原因と改善方法に整理しています。

同じ応募でも、かけていい額は職種で2.57倍違う

応募1件にいくらかけていいかは、その職種の粗利から逆算できます。同じ集計に職種別の派遣料金と賃金が載っています。

職種

派遣料金

賃金

差額(1人1日)

情報処理・通信技術者

34,382円

21,032円

13,350円

建築・土木・測量技術者

34,168円

21,429円

12,739円

全業務平均

26,257円

16,735円

9,522円

一般事務従事者

18,112円

12,231円

5,881円

介護サービス職業従事者

16,282円

11,093円

5,189円

情報処理・通信技術者の13,350円と介護サービスの5,189円では2.57倍の差があります。1人1日あたりの金額です。

集まりにくい職種ほど差額が大きいという関係になっています。だから高倍率の職種は、単価を上げてでも取りに行く価値があります。

高さの違う3つのコインの山のうち、最も高い山を見上げる担当者のイラスト

契約期間を掛けると、許容額はさらに開く

ここからは試算です。差額に稼働日数を掛けると、1人を就業させたときの粗利が出ます。

稼働期間

全業務平均

情報処理・通信技術者

介護サービス

1日

9,522円

13,350円

5,189円

1か月(20日)

190,440円

267,000円

103,780円

3か月(60日)

571,320円

801,000円

311,340円

1日限りの契約なら、粗利は9,522円です。ここに1万円の広告費をかけたら赤字になります。

一方、情報処理・通信技術者が3か月続けば80万1,000円です。応募単価が数万円でも十分に合います。

最も薄い介護サービスの1日5,189円と、最も厚い情報処理・通信技術者の3か月80万1,000円では、154倍の開きがあります。

派遣契約の85.7%は3か月以内に終わり、1日以下も25.7%あります。自社の契約構成を見ずに一律の応募単価を設定すると、必ずどこかで損をします。

見るべきは応募単価ではなく、就業1名あたりの単価

応募単価が下がっても、就業につながらなければ意味がありません。見る指標を変えます。

就業1名あたりの単価は、広告費を就業人数で割るだけです。応募が2倍になっても就業が変わらなければ、この数字は悪化します。

例えば月の広告費が60万円で、応募が120件、就業が6人だったとします。応募単価は5,000円ですが、就業1名あたりは10万円です。

この10万円を、その職種の粗利と比べてください。全業務平均で3か月稼働なら57万1,320円ですから十分に合います。1日以下の契約が中心なら、まったく合いません。

応募単価だけを下げる改善は、安い応募を増やして就業単価を悪化させることがあります。先に見るのは分母ではなく分子です。

算出の考え方は応募単価(CPA)を下げるために見直すべき5つのポイントにまとめました。予算の配分は派遣会社の求人広告費の予算配分の決め方が参考になります。

上から入った多くの人が5段の漏斗で減り、下に2人だけ出てくるイラスト

応募から就業までの、どこで落ちているかを数える

就業単価が高いとき、原因は広告ではなく途中の工程にあります。数えるべきは次の5つです。

工程

見る数字

落ちている場合の疑い

応募

掲載数に対する応募数

職種・条件・媒体

連絡がつく

応募に対する接続率

連絡の速さと手段

登録

接続に対する登録率

登録の手間と説明

面談

登録に対する面談実施率

日程調整と案内

就業

面談に対する就業決定率

紹介できる案件の数

最後の就業決定率が低い場合、原因は集客ではなく案件側にあります。紹介できる仕事がなければ、応募を増やしても就業は増えません。

どの工程でも、数える前に改善すると空振りします。1か月分でいいので、まず実数を出してください。

見落とされがちな論点:初動の速さは、求人企業の評価軸と同じ

求人企業が派遣を使う理由の1位は「欠員補充等必要な人員を迅速に確保できるため」で76.5%でした。令和4年派遣労働者実態調査の数字です。

この「迅速さ」は、応募者から見ても同じです。複数社に同時応募するのが普通ですから、最初に連絡が来た会社に登録が流れます。

日本人材派遣協会の調査では、営業担当者が「何もしていない」と答えた派遣社員が42.2%いました。接触の量で差がつく余地は、まだ大きいということです。

応募から初回連絡までの平均時間を計測してください。これは広告費をかけずに動かせる数字です。

広告を止めても残る集客をつくる

広告は、出している間しか効きません。止めた翌月から応募はゼロに戻ります。

一方、自社サイトや過去の登録者への案内は、積み上がった分がそのまま残ります。即効性はありませんが、広告費の増加を止める働きをします。

特に登録者226.7人のうち7割が動いていない状態なら、そこへの再案内が最も安い集客です。手順は広告費を増やさず派遣の応募数を増やす方法と派遣会社の採用サイトで応募率を高める方法に整理しました。

再案内で気をつけたいのは、職種を変えて声をかけることです。前回と同じ条件で断られた人に、同じ案内を送っても結果は変わりません。

動いていない登録者を、登録時の希望職種と最終連絡日で並べ替えてください。半年以上空いている層から順に当たると、反応の差がはっきり出ます。

想定ケースで見る、広告を増やす会社と名簿を回す会社

登録者226.7人、稼働66.3人の会社を2つ想定します。どちらも稼働を6人増やしたいとします。

A社は広告で増やします。応募から就業までの歩留まりを10%とすると、60件の応募が必要です。応募単価1万円なら60万円かかります。

B社は名簿を回します。稼働の比率を29.2%から31.9%へ2.7ポイント上げると、稼働は6.1人増える計算です。広告費はかかりませんが、連絡の工数はかかります。

増えた6人が全業務平均の条件で年171日稼働するなら、粗利は約977万円です。どちらの道でも回収はできますが、B社は翌年も同じ名簿から回せます。

今日から実践するためのチェックリスト

  • 登録者数と稼働人数を割り算し、全国平均の29.2%と比べる

  • 職種ごとに差額を出し、1日あたりいくら残るかを確認する

  • 自社の契約期間の構成を出し、1日以下の比率を把握する

  • 広告費を就業人数で割り、就業1名あたりの単価を出す

  • 応募・接続・登録・面談・就業の5つを1か月分だけ数える

  • 応募から初回連絡までの平均時間を計測する

  • 1年以上動いていない登録者を抽出し、再案内の対象にする

まとめ

1事業所あたりの登録者は226.7人、稼働は66.3人で、比率は29.2%です。名簿の7割は動いていません。

職種によって有効求人倍率は27倍、1人1日の差額は2.57倍の幅があります。さらに契約期間を掛けると、1人あたりの粗利は9,522円から80万1,000円まで開きます。

一律の応募単価で管理している限り、どこかで必ず損をします。職種と契約期間から許容額を出し、就業1名あたりの単価で見てください。

そのうえで、応募から就業までの5工程を数えます。原稿を直すのはそのあとです。媒体の選び方は派遣会社の求人媒体は何社使うべき?最適な選び方にまとめています。

確認クイズ(FAQ)

Q1. 1事業所あたりの登録者数に対し、稼働している派遣労働者の比率はどれくらいでしょうか。

A. 約29%
B. 約50%
C. 約72%

正解:A

解説:登録者226.7人に対し稼働は66.3人で29.2%です。残る7割はその年度に動いていません。

Q2. 全業務平均の差額で、1日限りの契約から残る粗利はいくらでしょうか。

A. 9,522円
B. 190,440円
C. 571,320円

正解:A

解説:1人1日あたり9,522円です。20日稼働なら190,440円、60日なら571,320円になります。

Q3. 求人企業が派遣を利用する理由の1位はどれでしょうか。

A. 人件費を抑えられるため
B. 欠員補充等必要な人員を迅速に確保できるため
C. 教育の手間を減らせるため

正解:B

解説:76.5%で1位です。迅速さは求職者から見た評価軸とも重なります。

ハケンバンクについて

応募を集めても、紹介できる案件がなければ就業は増えません。就業決定率が低いときは、集客ではなく案件側が足りていない可能性があります。

ハケンバンクは、求人企業と派遣会社をつなぎ、派遣会社の案件獲得を支援するプラットフォームです。集客と並行して案件側を厚くする手段として、ご検討ください。

参考文献

・厚生労働省「令和6年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」(2026年3月31日公表)

・厚生労働省「一般職業紹介状況」(職業安定業務統計)

・厚生労働省「令和4年派遣労働者実態調査の概況」(2024年2月公表、事業所調査)

・一般社団法人日本人材派遣協会「2025年度 派遣社員WEBアンケート調査結果」(2025年12月公表)

・労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号)/e-Gov法令検索

この記事の監修者

ハケンバンク運営チーム

ハケンバンク運営チームは、人材派遣会社と求人企業をつなぐプラットフォーム「ハケンバンク」の運営を通じて、派遣業界の市場動向や現場課題を日々分析しています。
派遣会社の経営者・営業担当者・コーディネーターの実務に役立つ情報を発信し、「派遣会社の経営を変える知識」をテーマに、業界の構造や最新トレンド、実践的なノウハウを分かりやすくお届けしています。

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