
求職者集客・採用
2026/8/20
採用サイトをリニューアルしたのに、応募数がほとんど変わらなかった。あるいは、媒体経由の応募は取れているのに、自社サイトからのエントリーは数件で止まっている。中小・中堅の派遣会社ではよく聞く状況です。この記事は、従業員5名から300名規模の派遣会社で求職者集客を担う採用責任者、コーディネーター、経営者に向けて書いています。
目次
先に結論を述べます。採用サイトの応募率は、見た目の刷新ではほとんど動きません。動くのは、流入経路ごとに分母を分けて数え、入力の手間を削り、判断材料を先に出したときです。とくに派遣会社は、法律で公開が義務づけられた情報という、他業種にはない信頼材料をすでに持っています。
採用サイトの改善は、この3つのどこで落ちているかを特定するところから始まります。
厚生労働省の一般職業紹介状況(令和8年6月分)では、有効求人倍率は1.18倍、新規求人倍率は2.16倍で、6月の新規求人は前年同月比3.1%増でした(2026年7月31日公表)。求人が増えるなかで自社サイトに来た人は、すでに何社かと比較している途中だと考えるのが自然です。その状態の人に対して、到達(探している条件の仕事にたどり着けるか)、入力(数分で送れるか)、信頼(この会社に登録して大丈夫か)のどれか一つでも欠けると、離脱が起きます。
作り直しで成果が出にくい理由は、応募率の分母を間違えたまま評価しているからです。サイト全体のセッション数を分母にすると経路の異なる訪問者が混ざり、どこを直すべきか見えなくなります。
流入経路によって訪問者の温度は違います。媒体からの遷移、指名検索、職種と地域での自然検索、LINEからの再訪では、期待する行動が異なります。同じ「応募率」という言葉で並べてしまうと、改善の優先順位が決められません。
流入経路 | 訪問者の状態 | 分母にすべき指標 |
|---|---|---|
求人媒体からの遷移 | 特定の案件に興味がある | 仕事詳細ページの閲覧数 |
社名の指名検索 | 会社の信頼性を確認したい | 会社情報・情報公開ページの閲覧数 |
職種・地域の自然検索 | 条件に合う仕事を探している | 検索結果ページからの詳細ページ遷移数 |
LINE・過去登録者の再訪 | 案件があれば動く | 配信到達数、再稼働の相談件数 |
もう一点、サイト単体で完結しないことも見落とされがちです。マイナビのアルバイト就業者調査(2026年)では、勤務先を決めた要因の第1位が「応募後にすぐに企業から連絡がきた」で39.9%でした(2026年7月公表)。派遣登録者を対象とした調査ではありませんが、参考になる傾向です。サイトの入力を短くしても、初回連絡が翌営業日になれば効果は打ち消されます。応募数の考え方は「派遣会社の求人広告で応募数を増やす方法と改善策」でも扱っています。
到達と入力を改善する具体策は、求職者が絞り込む順番に画面を合わせることです。派遣で働く人が重視する条件は、正社員採用とは並び方が違います。
日本人材派遣協会の2025年度派遣社員WEBアンケート調査では、派遣で働く理由の上位は「働く時間や時間帯を選べるため」39.4%、「すぐに仕事に就けるため」35.8%、「勤務地を選べるため」35.7%でした(2025年12月公表)。マイナビの調査でも、必須条件は「自宅から近い」45.7%、「シフトの融通がきく」43.3%が上位でした。
つまり、トップページに置くべきは会社の理念ではなく、勤務地・時間帯・就業開始時期で絞り込める検索です。あわせて、入力項目は削れます。氏名、連絡先、希望条件の3点があれば初回連絡はできます。職歴やスキルの詳細は、面談で聞けば足ります。登録フォームを短くすることは、面談の質を下げることではありません。
派遣会社の採用サイトには、他業種の採用サイトにはない資産があります。労働者派遣法にもとづく情報公開のページです。
厚生労働省の労働者派遣事業のページでは、令和3年4月1日より、派遣元事業主による情報提供の法的義務があるすべての情報について、原則として常時インターネットにより提供することとされています。対象にはマージン率、派遣労働者数、派遣料金と賃金の平均額、教育訓練に関する事項が含まれます。
多くの会社では、このページは会社概要の奥に置かれ、数字だけが並んでいます。しかし、求職者から見れば、賃金水準と教育訓練の中身が公開された数少ない一次情報です。ここを「読める形」に整えるだけで、指名検索で訪れた人の判断材料になります。
項目 | よくある状態 | 応募材料に変える方向 |
|---|---|---|
マージン率 | 数字のみを掲載 | 内訳(社会保険料・教育訓練費など)を併記する |
教育訓練 | 「実施しています」の一文 | 講座名、受講のタイミング、費用負担を書く |
賃金の平均額 | 8時間換算の金額のみ | 職種別の時給レンジと、改定の考え方を添える |
掲載場所 | 会社概要の下層 | 登録案内ページから直接たどれるようにする |
これは考察ですが、義務対応として作られたページほど手つかずで残っており、労力をかけずに差をつけられる領域だと考えられます。
到達を増やす手段として、自社サイトの求人を検索結果の求人枠に載せる方法があります。Googleの求人情報(JobPosting)の構造化データによれば、求人ページにJobPostingの構造化データを追加すると、その求人がGoogleの求人検索機能の表示対象になります。構造化データは求職者が読める求人情報と同じページに置く必要があり、複数の求人が並ぶ一覧ページに置くことは認められていません(2026年8月時点の仕様)。
例えば、想定してみましょう。仕事一覧ページにだけタグを入れ、詳細ページには入れていない採用サイトがあるとします。仕様に反するため、求人枠に表示されない状態が続きます。仕事詳細ページを1件ずつ独立したURLで持たせることが前提条件です。
検索結果に並んだ時点で、条件は他社と横並びで比較されます。三大都市圏の派遣スタッフ募集時平均時給は1,659円でした(出典:ジョブズリサーチセンター「派遣スタッフ募集時平均時給調査」2026年2月度)。相場から外れた案件を載せても、流入だけが増えて応募率は下がります。広告に頼らない集客は「広告費を増やさず派遣の応募数を増やす方法」でも整理しています。
応募率を、流入経路別に分母を分けて算出した
仕事詳細ページが1件ずつ独立したURLになっているかを確認した
求人ページにJobPostingの構造化データが入っているかを検証した
登録フォームの入力項目を数え、初回連絡に不要な項目を削った
スマートフォンで自社サイトを開き、勤務地と時間帯で絞り込めるかを試した
情報公開ページに、マージン率の内訳と教育訓練の具体的な内容を書き加えた
エントリー受信から初回連絡までの平均時間を計測した
採用サイトの応募率は、作り直しではなく分解から改善します。まず流入経路ごとに分母を分け、どの経路の到達が弱いのかを特定してください。そのうえで、入力の手間を削り、判断材料を先に出す順序で手を入れます。
明日から着手するなら、スマートフォンで自社サイトを開き、勤務地と時間帯で仕事を絞り込んでエントリーするまでを実際にやってみてください。詰まった箇所が、そのまま改善リストになります。採用サイトは広告と違い、直した分が資産として残ります。
応募が増えても、紹介できる案件が不足していれば就業には結びつきません。求人開拓を自社だけで進めることが難しい場合、外部の仕組みを活用する選択肢もあります。ハケンバンクは、求人企業と派遣会社をつなぎ、派遣会社の案件獲得を支援するプラットフォームです。
厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年6月分)について」(2026年7月31日)
厚生労働省「労働者派遣事業」(令和3年4月1日施行の情報提供に関する省令改正を含む)
一般社団法人日本人材派遣協会「2025年度派遣社員WEBアンケート調査結果」(2025年12月19日)
株式会社マイナビ「アルバイト就業者調査(2026年)」(2026年7月29日)
株式会社インディードリクルートパートナーズリサーチセンター(ジョブズリサーチセンター)「2026年2月度 派遣スタッフ募集時平均時給調査【三大都市圏(首都圏・東海・関西)】」(2026年3月13日)
Google「求人情報(JobPosting)の構造化データ」Google 検索セントラル(2026年8月時点)
この記事の監修者

ハケンバンク運営チーム
ハケンバンク運営チームは、人材派遣会社と求人企業をつなぐプラットフォーム「ハケンバンク」の運営を通じて、派遣業界の市場動向や現場課題を日々分析しています。
派遣会社の経営者・営業担当者・コーディネーターの実務に役立つ情報を発信し、「派遣会社の経営を変える知識」をテーマに、業界の構造や最新トレンド、実践的なノウハウを分かりやすくお届けしています。

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