製造業の派遣案件を新規獲得する営業のコツと攻め方

求人開拓・営業

2026/8/12

製造業の派遣案件を新規獲得する営業のコツと攻め方

「製造業の派遣案件を新規で獲りたいのに、テレアポは断られ、既存の取引先からも追加発注が来ない」。従業員5〜300名規模の派遣会社で、こうした声は珍しくありません。結論から言えば、製造業の新規開拓は、闇雲な件数営業から、人手不足が深刻な職種と、求人企業が発注先を決める基準を正確に突く営業へ切り替えることで成約率が変わります。本記事は営業担当者・営業責任者・経営者に向けて、製造業特有の営業構造と、明日から変えられる具体的な攻め方を、一次データとともに整理します。

目次

結論:狙うべきは「充足しにくい職種」と「発注理由が明確な企業」

製造業の派遣は市場全体が伸びていますが、案件がどこにでも転がっているわけではありません。狙いを定めるべきは、人が採れずに困っている職種と、派遣を使う理由がはっきりしている企業です。実際、2025年度(令和7年度)平均の有効求人倍率は1.20倍にとどまる一方、生産工程の職業は1.65倍(2024年9月)と全体を大きく上回ります。つまり、「どの製造業か」ではなく「どの職種の、どんな逼迫か」で営業先を選ぶことが、新規獲得の起点になります。この視点を欠いたまま企業規模だけで営業先を並べると、需要のない相手に労力を割くことになります。

出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和7年度分・令和6年9月分〔職業別〕)」(2026年)

なぜ「案件はあるのに獲れない」のか

製造業で新規が獲れない最大の原因は、営業力の不足ではなく、発注構造への理解不足にあります。派遣市場は拡大が続き、労働者派遣事業の年間売上高は約9兆9,005億円、派遣労働者数は約220万人に達しました(厚生労働省、令和6年度)。市場が伸びているのに自社が獲れないのであれば、問題はパイの大きさではなく、アプローチする相手とタイミングのズレです。

製造業の求人企業は、増産や急な退職といった「困った瞬間」に発注先を探し始めます。多くの派遣会社は、その瞬間より前に接点を作れていないため、いざ需要が生まれても声がかかりません。断られているのではなく、そもそも想起されていないのです。では、どうすれば思い出してもらえるのか。鍵は、企業側が発注先を選ぶ基準を先に知っておくことにあります。

出典:厚生労働省「令和6年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」(2025年)

製造業の担当者が発注先を選ぶ基準と本音

製造業の派遣先担当者が最も重視するのは、料金の安さではなく「必要な人数を、必要な時期に、確実に埋められるか」です。人手不足はなお深刻で、正社員の51.6%、非正社員の28.3%の企業が不足を感じています(帝国データバンク、2025年10月)。現場が回らない担当者にとって、最大の不安は「頼んでも人が来ないこと」だからです。

だからこそ担当者の本音は、「安い会社」ではなく「約束を守る会社」に向かいます。初回の問い合わせに数時間で反応し、充足の見込みを正直に伝える会社は、単価が多少高くても選ばれやすい。逆に、受注欲しさに「できます」と安請け合いして充足できなかった派遣会社は、一度で取引が途切れます。製造現場は横のつながりが強く、対応の良し悪しは発注担当者どうしの会話で伝わっていきます。実は、この評判の連鎖こそ、中小が大手に割って入る余地が生まれる場所です。

見落とされている論点:選ばれているのは「案件数」ではなく「充足率」

多くの営業は獲得した案件数を成果として数えますが、求人企業が実際に見ているのは充足率です。派遣事業所は実績のあるものだけで約3万3,207所あり(厚生労働省、令和6年度)、担当者は同じ求人を複数社へ同時に投げています。同じ案件を受けても、実際に人を出せた会社だけが次も声をかけてもらえる。案件を10件受けても充足が2件なら、現場からの信頼は積み上がりません。だからこそ、追うべき数字は受注件数ではなく、受けた案件をどれだけ埋められたかです。

観点

成約・継続につながる営業

案件を消化できない営業

初回反応

数時間以内に一次回答

翌日以降・定型メールのみ

提案の中身

充足見込みと代替案を明示

「できます」と安請け合い

追う指標

充足率・粗利・更新率

受注件数のみ

情報連携

営業とコーディネーターが即共有

担当者個人が抱える

断り方

出せない案件は理由を添えて辞退

曖昧な保留のまま放置

攻め方:職種と地域の需給差を読んで営業先を決める

製造業を一括りにせず、逼迫している職種と地域に営業資源を集中させるのが最短ルートです。生産工程のなかでも需給差は大きく、機械整備・修理は4.54倍、金属製品の製造・加工処理は2.29倍と、埋まらない職種ほど発注意欲が高い(厚生労働省、令和6年9月)。ここに、自社が実際に人を出せる職種を重ねると、勝てる営業先が浮かび上がります。網羅的な手法の整理は「派遣会社が新規案件を獲得する営業手法」も参考になります。

製造関連の職業(2024年9月)

有効求人倍率

機械整備・修理従事者

4.54倍

製品製造・加工処理従事者(金属製品)

2.29倍

生産設備制御・監視従事者(金属製品を除く)

2.09倍

製品検査従事者(金属製品を除く)

1.79倍

生産工程の職業(平均)

1.65倍

賃金動向も営業判断を左右します。2025年度の最低賃金は全国加重平均で1,121円まで上がり(厚生労働省、令和7年度)、派遣料金を引き上げる交渉の正当な根拠になります。最低賃金の上昇を「かさむコスト」で終わらせるか、「値上げの説明材料」として使えるかが、粗利を残せる会社と残せない会社の分かれ目です。人がいない職種を、適正な料金で提案する。これが、案件数ではなく粗利につなげる営業の型です。

今日からできる改善策

まず着手すべきは、新しいリスト作りではなく、自社が確実に出せる職種と反応速度の見直しです。過去1年で充足できた職種を洗い出し、その職種で困っていそうな企業へ絞る。そのうえで、問い合わせへの初回反応を数時間以内に固定する。この2点だけでも、同じ案件を受けたときの成約率は変わります。新規開拓は数を撒く前に、勝てる的を絞ることから始まります。

今日から実践するためのチェックリスト

  • 直近1年で自社が実際に充足できた職種を3つ書き出したか

  • その職種の有効求人倍率(逼迫度)を確認したか

  • 問い合わせへの初回反応時間を「数時間以内」に決めたか

  • 営業とコーディネーターが案件情報を即共有できているか

  • 受注件数ではなく充足率・粗利・更新率を見ているか

  • 出せない案件を理由付きで辞退する基準があるか

  • 最低賃金の改定を料金交渉の根拠に使えているか

ハケンバンクについて

求人企業の新規開拓を自社だけで進めることが難しい場合、外部の仕組みを併用する選択肢もあります。ハケンバンクは、求人企業と派遣会社をつなぎ、派遣会社の案件獲得を支援するプラットフォームです。自社だけでは接点を持ちにくい求人企業と出会う入口として、日々の営業活動を補完する使い方が考えられます。

まとめ

製造業の派遣案件を新規で獲るために変えるべきは、営業の件数ではなく狙い方です。逼迫している職種と、発注理由が明確な企業に資源を集中させ、初回反応の速さと充足率で信頼を積み上げる。まずは今日、自社が確実に出せる職種を3つ書き出すところから始めてください。案件を追う営業から、粗利と継続を生む営業へ。その一歩が、中小派遣会社が大手に割って入るための現実的な道筋になります。

参考文献

  • 厚生労働省「令和6年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」(2025年)

  • 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和7年度分・令和8年3月分)」(2026年)

  • 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和6年9月分・職業別)」(2024年)

  • 帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2025年10月)」(2025年)

  • 厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧(令和7年度)」(2025年)

この記事の監修者

ハケンバンク運営チーム

ハケンバンク運営チームは、人材派遣会社と求人企業をつなぐプラットフォーム「ハケンバンク」の運営を通じて、派遣業界の市場動向や現場課題を日々分析しています。
派遣会社の経営者・営業担当者・コーディネーターの実務に役立つ情報を発信し、「派遣会社の経営を変える知識」をテーマに、業界の構造や最新トレンド、実践的なノウハウを分かりやすくお届けしています。

[PR]ハケンバンクは、人材派遣会社の成長を実現する求人プラットフォームです。求人開拓を効率化し、さらなる売り上げアップをサポートしています。人材派遣事業でお困りの際はぜひお気軽にご相談ください。

サービス資料ダウンロード

vertical_align_bottom

© CLEAR INNOVATION, inc. ALL RIGHTS RESERVED.