建設会社から派遣求人を獲得する営業方法と提案のコツ

求人開拓・営業

2026/8/11

建設会社から派遣求人を獲得する営業方法と提案のコツ

建設業は今、人手不足がもっとも深刻な業界のひとつです。だからこそ「建設会社に営業すれば求人が取れるはず」と考える派遣会社は少なくありません。ところが実際に訪問すると、話が噛み合わないまま終わることが多いのではないでしょうか。この記事は、建設会社を新規開拓したい営業担当者・営業責任者・経営者に向けて、なぜ空振りするのか、そしてどこに「獲れる求人」があるのかを整理します。

目次

結論:建設会社で狙うべきは「現場作業以外」の求人

最初に結論をお伝えします。建設会社から派遣求人を獲得する鍵は、現場作業員ではなく、施工管理・現場事務・CAD・設計といった「建設業務以外」の職種に営業対象を絞ることです。建設現場での作業は労働者派遣法第4条で派遣が禁止されており、ここを提案しても契約にはなりません。逆に、禁止されていない周辺業務には強い需要が眠っています。

背景には市場の大きさもあります。労働者派遣事業の売上高は9兆9,005億円に達し、派遣労働者数は約220万人に増えました(厚生労働省「令和6年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」)。人手不足の建設業は、この需要の受け皿になり得る有望な開拓先です。ただし、成約するかどうかは「どの求人を提案するか」で決まります。

なぜ建設会社への派遣営業は空振りしやすいのか

空振りの原因は営業スキルではなく、法制度と現場ニーズのズレにあります。建設会社がもっとも欲しいのは現場で手を動かす作業員です。しかし労働者派遣法は、建設現場での資材運搬、掘削、組み立て、解体などの「建設業務」への派遣を明確に禁止しています(e-Gov 労働者派遣法)。つまり、担当者が一番求める人材こそ、派遣では出せないのです。

この構造を理解しないまま「人手が足りていませんか」と切り出すと、会話は「作業員を出せるのか」という一点に向かい、出せないと分かった瞬間に商談は終わります。求人企業が派遣会社を選ぶ以前に、そもそも土俵に乗れていないのが実態です。

一方で、建設業の人手不足は周辺業務にも波及しています。建設業就業者は高齢化が進み、55歳以上が36.7%を占める一方、29歳以下は11.7%にとどまります(国土交通省「国土交通白書」掲載データ、2024年)。ベテランが抜ける現場では、書類作成や工程管理を担う人材の不足が深刻化しています。ここに営業の突破口があります。

建設会社の中にある「派遣で獲れる求人」の正体

では、どの求人なら獲得できるのか。答えは、現場作業に直接従事しない業務です。施工管理業務、現場事務所での事務、CADオペレーター、設計、積算などは建設業務に当たらず、派遣が認められています。見落とされがちですが、これらは建設会社の内部で慢性的に不足しており、しかも作業員より単価が高く粗利を確保しやすい職種です。

需要の裏づけもあります。建設・採掘関連の職業の有効求人倍率は、全職業平均の約1.2倍を大きく上回る水準が続いています(厚生労働省「一般職業紹介状況」2024年)。加えて2024年4月から時間外労働の上限規制が建設業にも適用され、限られた人員で工期を守るために、施工管理者の負担を減らす事務・技術サポート人材の必要性が高まりました。建設業の年間労働時間は2,018時間と全産業平均より約62時間長く(国土交通省「国土交通白書」掲載データ、2023年度)、この長時間労働を是正する担い手として、周辺職種の派遣ニーズは今後も拡大すると考えられます。

派遣先担当者の本音は「作業員が欲しいのに派遣は使えないと言われる」という不満に集約されます。だからこそ、使える領域を具体的に示せる派遣会社は、それだけで信頼を得られます

建設会社の業務

派遣の可否

営業上の位置づけ

資材運搬・掘削・組み立て・解体など現場作業

不可(建設業務)

提案しない領域

施工管理(工程・品質・安全管理)

可能

高単価・粗利を狙える主戦場

現場事務所での事務・書類作成

可能

導入ハードルが低い入口商材

CADオペレーター・設計・積算

可能

専門性で差別化しやすい領域

現場の警備・交通誘導

不可(警備業務)

提案しない領域

※主任技術者などは派遣ではなく直接雇用が必要です。線引きの詳細は個別の業務実態で判断してください。

建設会社に選ばれる提案のコツと営業手順

提案で差がつくのは、「作業員の代わり」ではなく「現場が回る仕組み」を売るという発想の転換です。多くの派遣会社は人を紹介しようとしますが、選ばれる会社は担当者の困りごとから逆算します。たとえば「施工管理者が書類作業に追われ、現場に出られない」という課題に対し、事務やCADの人材で管理者の時間を空ける、という提案です。作業員は出せなくても、現場の生産性は上げられます。

ここでコンプライアンスを語れるかどうかも分かれ目です。建設会社の中には、派遣と請負の区別が曖昧なまま人を受け入れ、偽装請負のリスクを抱えるケースがあります。禁止業務と可能業務の線引きを正確に説明できる派遣会社は、法令を理解した安全な取引先として評価されます。これは大手にはない、丁寧さで勝負できる中小派遣会社の強みです。

想定してみましょう。ある中堅ゼネコンに「作業員を10名」と提案しても断られますが、「繁忙期の施工図作成をCAD2名で支援し、正社員の残業を減らす」と提案すれば、2024年問題を抱える担当者には響きます。案件数を追うより、単価と粗利の高い一件を確実に取る発想が、建設開拓では特に効きます。派遣料金は1日8時間換算で平均26,257円(厚生労働省「令和6年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」)ですが、技術系職種はこれを上回る設定が可能です。営業の詳しい進め方は、[派遣会社の新規案件を獲得する営業手法10選]もあわせて参考にしてください。

項目

空振りする営業

選ばれる営業

提案の主語

「作業員を出せます」

「現場の生産性を上げます」

対象職種

現場作業(派遣不可)

施工管理・事務・CAD(派遣可)

訴求軸

人数・すぐ来られる

2024年問題・残業削減・工期遵守

法令の説明

触れない

禁止/可能業務の線引きを明示

評価される粗利

低単価・案件数重視

高単価・成約の質重視

今日から実践するためのチェックリスト

  • 建設現場の作業(建設業務)を提案対象から外し、施工管理・事務・CAD・設計に絞れているか

  • 労働者派遣法第4条の禁止業務と可能業務を、口頭で担当者に説明できるか

  • 提案の切り口を「人の供給」から「現場の生産性向上・残業削減」に変えているか

  • 2024年問題(時間外労働の上限規制)を営業トークに織り込めているか

  • 案件数ではなく、単価と粗利で成約を評価するKPIになっているか

  • 偽装請負のリスクを説明し、安全な取引先として信頼を得る準備があるか

  • 既存の建設系顧客に、周辺職種の追加求人を提案できていないか確認したか

まとめ

建設会社への派遣営業がうまくいかない最大の理由は、営業力ではなく、もっとも需要の大きい現場作業が派遣禁止だという構造にあります。だからこそ、まず自社の提案対象を施工管理・事務・CAD・設計といった「建設業務以外」に絞り直すことが、最初の一歩です。そのうえで「人を出す」から「現場を回す仕組みを提供する」へ提案を組み替え、法令の線引きを語れる安全な取引先として信頼を積み上げれば、単価と粗利の高い求人を継続的に獲得できます。明日の商談前に、まずは提案リストから現場作業の求人を外すところから始めてみてください。

ハケンバンクについて

建設会社のように、接点を持ちにくく、かつ派遣できる業務の見極めが必要な求人企業を自社だけで開拓するのは容易ではありません。ハケンバンクは、求人企業と派遣会社をつなぎ、派遣会社の案件獲得を支援するプラットフォームです。自社の営業活動を補完する選択肢のひとつとして、求人企業との新たな接点づくりにご活用いただけます。

参考文献

  • 国土交通省「国土交通白書」建設業を巡る現状に関する掲載データ(2024年)

  • 厚生労働省「令和6年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」(2025年公表)

  • 厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」(2024年)

  • e-Gov法令検索「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」第4条

この記事の監修者

ハケンバンク運営チーム

ハケンバンク運営チームは、人材派遣会社と求人企業をつなぐプラットフォーム「ハケンバンク」の運営を通じて、派遣業界の市場動向や現場課題を日々分析しています。
派遣会社の経営者・営業担当者・コーディネーターの実務に役立つ情報を発信し、「派遣会社の経営を変える知識」をテーマに、業界の構造や最新トレンド、実践的なノウハウを分かりやすくお届けしています。

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